【人生のなんとも言えない苦さがある】『パーフェクト・リタイア/藤堂志津子』
こんばんは、totocco(トトッコ)です^^
今日も一段と寒かったですね。
みなさんは風邪ひいてないですか?
あったかくして過ごしましょう^^
今日は最近読んでいる本の紹介をしていきます( ..)φメモメモ
こちらの本は短編小説となってます。
『パーフェクト・リタイア/藤堂志津子』
◇あらすじと感想
5つの話からなる短編小説です。
●6日間
社長夫人の咲木子の6日間の話。
貧乏だった咲木子が玉の輿に乗った。
母を楽にさせたいと思ったのに彼女が結婚して数年後に母は亡くなる。
母のことは大事。しかし、一方で母からひどい言葉を投げつけられていた過去があった。
今の咲木子は過去に縛られているけど、過去のつながりから自分を癒しているように見えた。
数日間の咲木子の気持ちの描写がとても巧みだと思う。
義理の母に対する憎しみやなでしこ会の会長に対してよく思ってない気持ちや母のこと。くるくると変わる心を細かく書いている。
●愛のくらし
オフィス・バラに勤める経理の育美(50)の話。
社長の伊予原と14、5年も不倫していた。
伊予原の妻の波子は癌で、症状が悪化し昏睡状態となった。
育美は頻繁に病室に通う。
波子は昏睡状態になる前に遺書を書いていた。
男の人ってとっても身勝手だと思った。沙代は若いころの育美のようだと思った。
波子はきっと夫の浮気を知っていたと思う。でも自分にとってはとても大切で離れてほしくない人だったんだろうな。
波子と育美は不思議な関係だった。
育美は波子のことはとても好きだったんだな。かつて自分を捨てた画家が亡くなった時と死にそうになっている波子に対する気持ちが全然違った。
わたしには理解できなかった。
波子は本当は育美のことをどう思っていたんだろう?
●猫をつれて
画家の鮎子の話。奈津哉と同居しているが、鮎子は大学の講師の桃川と3回 浮気してしまう。浮気する度に、鮎子は猫に全てを見破られているような気持ちになる。
尻軽な女の話。奈津哉は浮気のことは知っていたんだと思う。
だから飼い猫のギアが短命だって嘘をついて鮎子を引き留めたんじゃないか。
結局4年後に奈津哉が病気で亡くなる。
入籍しないで亡くなったのは復讐だったのかもしれない。
その後ギアも亡くなり、鮎子は独りになる。
●バッドボーイ
由美子(50代)と星月屋花樹の話。
ねんざしてジョンの散歩に行けなくなった由美子の代わりに散歩をしてくれる花樹。
花樹の幼少時代の話から同情する由美子。
由美子は母の介護をしていた時、親戚たちが介護について口出しをしてきてすごく苦しい目に遭った。
その話を花樹にした時、彼が自分を霊が見えると言ってあなたの母はあなたに感謝していると伝える。
これが嘘だったかもしれないと思いながら、由美子は心が救われる。
しかし最後に由美子は花樹に悪徳商法で浄水器を売りつけられてしまう。
なんとも不思議な話だった。
はじめから花樹にはだまそうとしていたんだろうか。
ずっと母の介護で親戚から責められたり理解されなかった由美子は、花樹が気を利かせて言った言葉で救われたんだと思う。
だから騙されていると分かった上でサインしたんだと思う。
最後に花樹が殺人未遂で捕まったのは怖いと思った。
きっと自分と姉を捨てた母と被害者が重なったんじゃないか。
●パーフェクト・リタイヤ
小寺布沙子の話。定年退職前に不倫相手の尾伏と自分に冷たく当たる凛子と区切りをつけるため、彼女は行動する。
後半からの彼女の話はとてもあっぱれと思った。
尾伏はがっかりする年の取り方だった。
老いには勝てないんだろう。都合よく自分の老後を見させようと考えていたのはゾッとした。それに対して布沙子は定年後は整形してバーを経営しようと行動していたのはすごい。
夢があって楽しそうだと思った。
女性の人生の後半の話がとても面白い。
きっとこれが不倫して相手と分かれた男性だったら、くしゅんとなって終わったんだろうな。
それに比べて女性の解放されたようなのびやかな感じが好き。
凛子は、自分の辛い過去を誰かを恨まないと生きていけなかったんだろうと思えば同情した。
◇さいごに
今回はなんとなく大人の雰囲気がある本でした。
藤堂さんの本は初めて読みました。
後から次々と登場人物たちのことが分かる書き方にハマりました。
ゆっくりと登場人物たちのことを知れて楽しかったです。
みなさんは読んだことありますか?
ない方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?^^
以上、totoccoでした!