【読書感想文】顔を変えてまで憎い男と結婚した女の話。「灼熱/秋吉理香子」より
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*´ω`)
今日は夫が地元のお祭りで町を練り歩いています。
わたしは明日見に行くので、今日はゆっくりとお休みタイムを笑
さて、今回はこちらの本の感想をゆるゆると書いていきます~
「灼熱/秋吉理香子」
◆あらすじ
主人公の川崎咲花子。彼女は幼い頃に母を亡くし、父も小学校5年生の時にひき逃げに遭ってしまい命を落とした。
その後定時制の高校で同じく身よりのない少年と出会い、ほどなく交際することに。
そして2人は結婚し、幸せな生活を送っていました。
ところが夫、川崎忠時はマンションから転落して亡くなることに。そこで明らかとなった夫の知らない顔。そして夫を殺したと思われる男に復讐するため顔を変えて結婚し妻を演じながら証拠を探していくが…。
◆感想
一度ページをめくったらテンポよくスルスルと読み終わりました。
ゆっくりと話が進むにつれ、どんどんと緊迫していく場面。
絵里としてふるまい、英雄の妻を演じながらの亡き夫の無念を晴らそうとしていた咲花子。でもゆっくりと心は英雄に傾いていく。
夫を殺した憎い男のはずなのに、どんどん好きになっていく。
次第に彼女は忠時殺しの証拠を集めなくなるが、英雄は絵里の正体に少しずつ気づいていくことに。
咲花子の心情の変化、英雄が犯した過去の罪。英雄の妹、亜希子が後半に起こしたアクションはゾッとしました。
もしももっと早く英雄と亜希子の過去を知っていたならば、咲花子は英雄と幸せに暮らせていたのか。
きっと心の底からは許せないのかもしれない。
なぜなら新しい憎しみが増えたのだから。
結局咲花子に残ったものは、再びの喪失ではないのか。
そう考えると胸が苦しくなる本作でした。
伏線回収が見事でした。
咲花子の父のひき逃げ事件と過去の英雄。
詐欺をしていた忠時と被害者だった英雄の関係。
亜希子の病院ではプログラミングの勉強会があったこと。
冒頭のお皿を割るシーンとラストのシーン。
これもリンクされているようで、一読者としてとても凝った演出により悲しくなりました。
個人的には、ハッピーエンドに終わってほしかった本作。
ずっと自分のできる範囲で咲花子を幸せにしようと考えていた英雄。
すごく切ない。
咲花子は、自分の正体を知られて英雄に殺されることを恐れ逃げようとする。
一方の英雄は、彼女が本当は咲花子と薄々気づきながらも彼女に殺されるのならそれでいいと考えていたところが切ない。
本当に彼女のことを愛していたんだなぁ。しかも咲花子の手を汚さないようにということまで気にしていたなんて。
この作品は顔を変えてまで憎い男と結婚した女の話ですが、愛していた人たちを次々に失う女性の話でした。