mastemのブログ

本好きの備忘録( *´艸`)ゆるゆる感想と日常について書いてます

【読書感想文】「BUTTER/柚木麻子」

こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)

今朝はとてむスッキリと晴れて、日差しが柔らかい朝でした^^

週末は冷えるそうなので、温かい恰好で過ごそう!

 

さて、今回で柚木さんのBUTTERの本の感想は最後^^

ではゆるゆると書いていきます( ..)φメモメモ

 

「BUTTER/柚木麻子」

 

◆あらすじ

梶井との面会を続ける内に梶井の実家へ取材することに。

そこへなんと親友の伶子がカメラマンとして同行したいと言い出す。

取材後に伶子と別れた里佳だったが、伶子が行方不明となったことを知る。

子どもが欲しかった伶子と、今すぐとは考えなかった夫。

里佳が次第に梶井によって変化していくことに恐怖を感じた伶子は、実は梶井に面会していたことが後に分かる。

その後無事に伶子は見つかり、篠井さんのマンションで預かることに。

里佳の取材をもとにした記事は週刊誌が完売となるほど好調だったが、他の記者が梶井の独占記事を取り、なんと里佳についても記事に。

これによって彼女は精神的に追い込まれるが…。

 

 

◆感想

小説の後半からは、様々な人物たちの影の部分が良く表れている仕上がりにとても濃厚なバターを食べているような感覚になる作品でした!

 

◆主人公の変化

作品を通して里佳が精神的にたくましくなる様子が見ていてうれしい。

主人公の里佳は、母にも言ってない父との出来事からずっと父は自分を恨みながら死んだのではないかと怯えながら暮らしていた。

だから投げやりな生活をしている篠井のことを心配する里佳。

自分の父が母との離婚でゆっくりと壊れていく様子と重なってどうにかしたかったんだろうなぁ。

でも作中の中で、相手を救う方法をいつも自分が持ち合わせているわけではないことを悟る場面がある。

これにはわたしは少し救われたような気がしました。

自分が頑張ればみんなが幸せになるとか、伶子が早く立ち直るとかはないんだと思う。

ラストで主人公はマンションの1室を買う。

自分にできることはもしも周りの人が逃げ場が欲しい時にそれを提供することだと結論が出た。

あまり一人で抱え込まないで、何かを働きかけるのではなくてそっと寄り添うことが大事なんだと思う。

 

ラストでは梶井に裏切られて、他社の週刊誌に里佳に関する記事が載ることになり、それで精神的に追い込まれた里佳。

でも最後にゆっくりと里佳は再生していく。

周囲の人を頼り、ごはんを食べる。

それでいいんだ。

 

現代社会では、常に努力することが求められていて息苦しい。

でも少し力を抜いて、周囲の人を頼ったり頼られたりして過ごすこともいいな。

 

◆週刊誌の記者という仕事

週刊誌の記者という人物が主人公の本作。

わたしはこの本を読んで記者という仕事は、すごく嫌な仕事だと思ってしまった。

だって誰かが傷つくことを飯のタネにしているから。

大学時代の就活で、テレビ局の部長クラスの方が登壇された時に話してたことを思い出した。

メディアで働くということは、覚悟するということらしい。

何を覚悟するのかというと、取材対象者から恨まれること。

作中でもスクープ欲しさに、里佳の同僚が遺族に対して失礼な記事を書いた描写があった。

メディアは物事を切り取る。

そして売れるためには、取材対象者を貶めることを書く場合も。

 

里佳も後半に料理教室のことを書き、料理教室の人から嫌われる描写が。

いずれにしても、週刊誌の記者で殺人事件などで被害者にムチ打つような記事は嫌だなと。

 

◆梶井について

最後まで何を考えているのか分からなかった。

所詮他人の気持ちは明らかにできないものなんだろう。

貫井徳郎さんの「微笑む人」のように、最後まで梶井の本心がつかめずに終わった作品。

しかし梶井の本心がわかることが大事なのではないんだろう。

最も大事なのは、主人公が自分にとって適量な生活を知ることだったんだろう。

 

体重も、どんな味付けが好きなのかも。

 

◆さいごに

柚木さんの作品は「嘆きの美女」、「マジカルグランマ」を読み、今回で3作品目でした。

主人公や周囲の人物たちの心情の描写がはっきりと描かれていて好き。

更に400ページを超える大作だったので、読むのもかなり時間がかかってしまいました。

何度でも読んで、1回目では見つけられなかったものを発見できるようになりたい。

 

みなさんは自分の適量を知っていますか?