【読書感想文】「漂流郵便局/久保田沙耶」
こんばんは、totoccoです(*´ω`)
今回は漂流郵便局について^^
「漂流郵便局/久保田沙耶」
◆届け先の分からない手紙を預かってくれる場所
みなさんは漂流郵便局をご存知ですか?
これは瀬戸内国際芸術祭で香川県三豊市の粟島でのパフォーマンス。
亡くなった人に、過去や未来の自分に、友人に、犬は果ては宇宙人まで。
届け先は分からないけれど、預かってくれる郵便局があるらしい。
瀬戸内国際芸術祭で昨年はスタッフをしていたtotocco。
すぐ隣の市で開催されていたことはチラッと聞いていたけれど、
伊吹島もなかなか忙しくて結局行けずじまい…。
先日地元の図書館の美術コーナーでこの本を発見^^
タイトルに惹かれて借りました!
◆漂流する私たちの思いを受け止めてくれる場
漂流郵便局。
なんて美しい名前なんだろうと思った。
漂流郵便局では、訪れた人が届け先のないはがきを出すことができる。
更に訪れなくても郵便でこの郵便局の住所を書くと届く。
建物の中は実際にかつて使われていた郵便局。
非現実的な郵便局の中で、もう会いたくても会えない人への自分の思いを受け止めてくれる素敵な空間だ。
◆感想
私もいつか行ってみたいと思った。
数年前に亡くなった祖母に宛ててはがきを書きたい。
はがきだけなのかな?
手紙じゃ受け取ってもらえないのかな?
封筒がパンパンになるほど、祖母には謝りたいことがあるんだけれど…。
祖母が亡くなった時、私は仕事で精神疾患にかかって辞めさせられた後、自宅で療養していた。
鬱状態だった。
当時の私は祖母が亡くなった時、とても失礼な態度を取ってしまった。
これを謝りたい。
ばあちゃんは優しいから、私が死んで会ったとしたら許してくれるかもしれない。
許してくれなくてもごめんね、今までありがとうと伝えたい。
漂流郵便局にはきっと正確には相手に届いていないのかもしれない。
でもはがきに書いて送った人にとって宛て先人不明で帰ってくることなく、届いているという事実が嬉しいのではないか。
文字に自分の気持ちをしたためることで癒されているのだろうと思う。
今も出していいのならば、私は祖母、夫、疎遠になってしまった友人らに宛てて書きたい。
素敵なはがきと切手シートを用意して。
◆本文中より
旅行の約束を前に亡くなってしまった夫に宛てた手紙が紹介されていた。
この部分を読みながら私は自分の夫のことを思って泣いてしまった。
(昨日も夫のいびきがうるさくて眠れなくてイラっとしていたのに。)
夫は私よりも体が丈夫だし、私よりも早く死にそうにない。
でもふと考えて怖くなる。
もしも私よりも早く夫が亡くなってしまったらと…。
夫はよくふざけて、俺の葬式は派手にやって!
湿っぽくならないように明るい感じでねっていうけど、今想像しただけでとても約束を果たせそうにないや。
逆に私が先に亡くなったら、夫が悲しくならないようにこの漂流郵便局へはがきを出しておこうか。
これまでの夫との思い出、これからの夫と生まれてくる我が子との思い出を書いておこう。
そうしたら気持ちが塞いでしまって外に出られなくなった時に、粟島を訪ねてほしいなと思う。
家でメソメソするよりも外に連れ出したい。
例え私が先に亡くなっても、その後の人生を他の人たちと紡いでいってほしいなと思う。
◆それぞれの思いは海の中に漂うように…。
私が日ごろ感じている疎外感や孤独感も漂ってどこかへたどり着くだろう。
そしていつか全ての人と繋がったような気持ちになるのかもしれない。
漂流郵便局にはたくさんの人々の思いが寄せられているのだ。
※2020年2月29日時点で、3月中の郵便局でのはがきの受付や開局はしないそうです。
その代わり郵便で送るのは受付されているとのことでした。
あなたもいつかの誰かへ送ってみませんか?
最後まで読んでくれてありがとうございました^^