【読書感想文】「アベンチャー型犯罪 秋葉事件は警告する/岡田尊司」
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)
今回は、こちらの本の読書感想文をゆるゆると。
◆ある事件が起きる
2008年の6月。
17人もの死傷者を出した、秋葉事件。
犯人の男は誰でも良かったと供述。
この事件は、異常な男が突然起こした凶行だったのでしょうか?
私はきっと誰でも被害者や加害者となる時代になったのではないか?
この事件の背景にはどんな問題があるのか知りたいと思い、手に取りました。
◆容疑者の生い立ち
加藤は幼少期を母からの過干渉で育った。
両親からは有名な大学へ行くことを望まれ、かなり厳しいしつけ(中には精神的な虐待も)を受けることに。
ところが高校入学後は成績が落ちていくことに。
そんな中、弟の方が成績が良かったため、次第に加藤は放置されるように。
親が常に子どものあら捜しをする、家族間の関係が不仲、兄弟間でえこひいきがあるなどの環境に置かれて育つと、共感力の乏しい人物になりやすいという。
◆選択肢の少ない日本の教育
しかしこれはどこの家庭にも起こりそうだと思った。
ヨーロッパだと、小学校卒業時に進路選択があるそう。
その際に大学へ進むことよりも、専門的な職業訓練コースが人気だそう。
ヨーロッパでは多様な選択肢が用意されている一方、日本では選択肢がすごく少ないと感じる。
中学校まではトップクラスで過ごせても、高校などどこかでこけてしまうとその後は転げ落ちる社会になっている気がしてならない。
しかも苦労して大学に行っても、その後に良い仕事に就けるという保障はない。
日本の閉そく感ってすごいですよね…。
◆どうしてこのような事件が起こったのか?
私の理解度が低いので、間違っているのかもしれませんが。
この本から読み取ったことを。
なぜこのような恐ろしい事件が起こったのか?
それは経済問題と、個人レベルの問題が複雑に絡んでいるとみられる。
経済では、正規から非正規の働き方が置き換わったこと。
更に自己愛型社会が到来したことで、自己愛を満たすために資本経済からのあらゆるモノやサービスを得られる。
しかしここで非正規の人々は、非正規となったことで賃金を搾取されていく。
更に資本経済によって、消費させられていることから、2重で搾取にあっているらしい。
ちなみに自己愛はいくらモノやサービスをお金を積んで求めても、自己愛が満たされることはない。
更に正規の仕事に就く人々も厳しいノルマ、人員不足によって余裕をなくし他者を気遣う余裕がない。
つまり、共感性や社会性の低下がみられることに。
そんな状況下で情報通信革命が起こり、更に個人の共感性や社会性が失われていく結果に。
情報通信革命とは、ゲームやネットのこと。
これらを使用するには、人間の脳は情報を処理しきれない。
そして脳の機能が低下して、共感性や社会性が失われるという。
こうして仕事面でも家庭環境でも恵まれなかった個人が暴発して、社会に対して復讐を遂げようとする。
加藤のやったことは許されないことだ。
しかし、このまま資本主義のいきすぎに対して手を打たないと、更に悲劇は繰り返されることになると思う。
◆先日の香川県議会での条例
先日、香川県議会でゲーム条例が可決されることに。
これはゲーム依存症に対して先手を打つということらしい。
しかし決め方には疑問が。
議会は公開されず、議事録も慣例で作ってないという。
にもかかわらずパブリックコメントでは異例の数のコメントが寄せられており、多数の賛成があったとするのに、賛成の意見は1ページのみ。
しかし反対意見は何ページにあったそう。
ゲーム依存は確かに恐ろしいことだけれど、家庭の娯楽に対して政治が制限を設けるのはおかしいと思う。
岡田さんは本書の中で、子どもが納得してゲーム時間を自分で決める(₌コントロールできるようにする)ことが大切としている。
にもかかわらずすぐにこの案が通り、来月の1日から施行するのはおかしい。
今のところ罰則はないというけれど、正直こんな不透明なやり方で議案を通した議会には不信感しかないし、香川県って住みにくい県だと思った。
◆さいごに
岡田さんのこの本は内容がぎゅうぎゅうに詰まっていて読んでてとても興味深かったです。
しかし内容が濃いので、何回でも読んでいきたい。
更に他の著作も読んで、更に自己愛について勉強していきたいと思ったtotoccoでした~。
ここまで読んでくれてありがとうございます^^