【読書感想文】綿矢ワールド全開!26歳独身OLのリアルな恋愛を描く「勝手にふるえてろ/綿矢りさ」
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)
今回は綿矢さんのこちらの本の感想をゆるゆると書いていきます^^
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◆あらすじ
主人公は会社勤めをしている26歳の独身女性。
結婚に焦りを感じつつも、中学生の頃好きだった男子のことが忘れられない。
そんな時に彼女にアタックする男性が現れる。
彼女のことが好きというのに、ちっちも言葉のキャッチボールができない「二」。
「二」のアプローチを保留にし、ずっと思い人だった「イチ」に会うために、別の同級生の名を借りて同窓会を開くことに。
そして再開を果たし、なんとグループで一緒に集まることに…。
◆感想
登場人物たちはみな幼い印象を受けた。
主人公の良香も、二もイチも良香の同僚の女性も。
良香が二に対しての付き合いやその後のことを考えるのは、26歳の女性のリアルだと思う。
二をシビアな目で品定めしている。
けれど彼女自身の内面は中学生のままでとてももろい。
同僚の女性、来留美がどういう意図で二に良香の情報を流していたのか?
2人が付き合うようになってほしかった?
それとも…。
いずれにしても良香の情報を流してショックを受けて、来留美を冷たく接する良香も、メールで謝る文を送った来留美も幼い。
◆ラスト
失恋で嘘をついて会社を休んだ良香。
イチを失い(片思いが実らないことを悟る)、結局二を求めて、深夜に来てくれた二に自分の内面をぶちまける。
心から血を流しながら、良香は自分を受け入れてほしいと二にすがる。
絶滅してしまった動物たちと自分を重ねる良香。
自分が好きになった人と結婚することにこだわったため、自分はこのまま結婚できずに動物たちのように絶滅するのか。
あるいは新しい道を選べるのか?
◆他者とのかかわりは難しい
他者との出会いでは、100%相手と合うなんてことはない。
頭の中では分かっていても、心のどこかでは自分のことを全て理解してくれる人物を求めてしまう。
ラストで良香は新しい道を選択することに。
二と付き合うことにしたのだ。
これは付き合う人物がいないから、あるいは結婚相手が見つからないからという妥協ではない。
自分は愛するけど、相手は自分のことをどう思っているのか分からないという不確実な世界を脱して、自分のことを愛してくれている相手を信じるという選択。
相手の愛を信じる。
その後の良香はどうなるのか分からない。
でも彼女が少し変わった気がした。
もしもこれから先二が愛想をつかしても、あるいは良香が二を振ったとしても、彼女は進んでいけるのではないかと思った。
◆綿矢ワールド全開!
綿矢さんの作品に登場する女性たちは、いつもクセがたっぷりとある。
これがとても面白い。
ちなみに本作の主人公はトイレの使い方について私をぎょっとさせました笑
えぐいほど相手を値踏みする良香。
一方で弱弱しい内面の描き方が上手い。
そして良香の思い人のイチ、彼女にアタックする二の本名がなかなか出なかったのは、彼女の弱い内面の中の独り言だったのかしらと思う。
彼女の内側の声だからこそ、彼らに名前なんぞ必要なかったのかも。
個人的には、作中に不思議の国のアリスで登場したドードー鳥がでてきたことに感動した笑
実際に存在した鳥だったのに、人間のせいで絶滅したとはとても残念。
◆さいごに
26歳女性の等身大の葛藤でした。
妊娠や出産があるからこそ、女性は人生設計を思い悩むのかなと思った作品でした。
でもその一方で親をはじめとする周囲の年配者からの呪いを全身に浴びている気がしました。
恋人、結婚、妊娠、子育て…。
男性だって若い方が不妊のリスクが低い、つまり男性の高齢結婚だってリスクあるのに、男性には女性のように結婚を早くと急かすイメージがないのは何故?
結婚だけが幸せというものではなくなった現代で、今なお結婚は?と急かすのは、ずっと信じてきた幸せという形を相手に押しつける行為なんだろう。
自分も呪いをかけられたくないし、友人など周りの人たちに呪いをかけたくないなと思ったtotoccoでした~。
ここまで読んでくれてありがとうございました(*^-^*)