【読書感想文】「満潮」変半身より 村田沙耶香
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)
今日は子どもの日^^
今日も昨日と同じくとても暑いですね~。
なんでも気温は26度まで上がるそう。
今年初のエアコン付けました( ´∀` )
さて、今日は前回紹介した本Part2です^^
ではゆるゆると感想を書いていきます。
「満潮」変半身より 村田沙耶香
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◆あらすじ
夢精をしたという妻の佳代が主人公。
彼女には5歳下の夫直行がいる。
ある時、直行が潮を噴いてみたいと言い出し練習することに。
その内佳代も一緒に取り組むことに…。
◆感想
夫婦だけれど、性的な関係は3年前からない2人。
友人のような、姉弟のような関係なのかもしれない。
佳代は大学時代からの友人、雪子に夢精の話をする。彼女は茶化したりせず真剣に話を聞いてくれる。そういう人物を佳代は無意識に選んだんだろう。
佳代の中で性的な話はタブー視されている。
しかしこれは読者である私たちも一緒。
特に日本社会は女性は性的な話をするのは、なんとなくタブー視されている気がする。(言ったら女のクセにはしたないとか思われそう…。)
ある日夫が潮を自力で噴いてみたいと打ち明けた時の佳代の気持ちがよく分からなかった。
自分がいるにも関わらず…という心境なんだろうか?
専門店に行くことを提案した佳代。
それを直行は短絡的だと言い、汚れた潮だという。
佳代は私の夢精の体験と夫の潮のことは一緒なのかもしれないと気づく場面がある。
他者にとっては、私という個人のプライベートな領域のことを聞かせることは相手を不快にさせることになるのかもしれない。
雪子に夫の潮の話をした時、彼女は強烈に拒絶した。
しかしこの拒絶に私は納得できた。
上手く言葉にできないことが説明されていてスッキリした。
潮って、乱暴な男性が女性の体をオモチャにしているということ。
面白おかしく不正確な情報をもとにして、女性の意見を聞かず独りよがりで勝手に女体を使うということ。
女性のプライベートゾーンをぐしゃぐしゃにしてしまう行為なんだと思う。
もちろん、そんな男性ばかりではないことは分かっている。
でも実際には日本の多くの男性は、独りよがりな行為が多いのでは…。
先日のナイナイ岡村さんの発言からそう感じてしまう。
女性は性について語ってはいけないという雰囲気を壊して、夫と話し合っていきたいと思った。
2人だけの秘密、あるいは自分だけの秘密にしたい。
誰かの娯楽にしたくない。
作中では、佳代は学生時代の恋人に同窓会の席で会った。
彼は相変わらず独りよがりなセックスをし、自称女性の体を知り尽くしていると言う。
そして彼の持つ、偏った知識によって相手を傷つけていく。
でも苦しいのは女性だけではない。
男性も傷つけられている。
作中の直行は誰からの傷かは分からないけれど、いつか誰かにつけられた傷から佳代とのセックスを成功させることに可哀そうなほど懸命となっていた。
他者の娯楽のために、女性も男性も踏みつけられている人は少なくとも存在するんだと感じた。
男性もこの被害者になるということは、私にとって発見だった。
フィクションの世界だけれども、そういう可能性だってあることが分かり、視野を広げることができた。
また作中の「私はこの人と逃げようと思った」という箇所。
村田さんが感じている(と私が思っているんだけれど)、何が普通なのかという問いがある気がした。
コンビニ人間でも生命式でもそう。
今あなたが感じたり思ったことが正しいのではないか?
社会が私たちに無言の圧力をかけてくる、結婚しろ、結婚したら子どもは2人産め、働けとかは果たしてそれをすることが普通なのか…。
こうしたら女性は気持ちがいいんだっていう誰が言ったのか分からないことを妄信するのではなく、作中の佳代の夫婦のように2人だけのペースで進んでいきたいと思った。
◆さいごに
村田ワールドは強烈な世界観を与え、時にこの考えは普通なのか?正常なのかを問いかけてくると感じています。
そんな問いにふと出会うと、自身の価値観がゆっくりと足元から崩れるような、でもその先には快適な答え(自分自身で答えを見つけてよいというもの)が待っている気がしました。
ここまで読んでくれてありがとうございました^^