mastemのブログ

本好きの備忘録( *´艸`)ゆるゆる感想と日常について書いてます

狂女フアナを読み解く!『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』より

こんばんは、totocco(トトッコ)です^^

今夜は昨年買った本の紹介をしていきたいと思います( ..)φメモメモ

 

『名画で読み解くハプスブルク家12の物語/中野京子

 

 

中野京子さんといえば、怖い絵シリーズでおなじみの方ですよね。

中野さんの本は、名画の解説がされていて、より絵画を身近に感じることができます。

個人的な楽しみ方は、中野さんの本を読んでから大塚国際美術館に行きます。

そうすると、何倍も楽しめるので(*´ω`*)

良かったらみなさんもやってみてください^^

かなり余談ですが、大塚国際美術館とは昨年の紅白で米津玄師が中継で歌った美術館です。

きれいでしたよね(*^-^*)

 

…あっ、話がそれました苦笑

本題に戻して、狂女フアナについて取り上げたいと思います(*´ω`*)

 

◇感想

狂女フアナと言えば、フランシスコ・プラディーリャが描いた『狂女フアナ』が有名だと思います。

フアナは、現在のスペイン中西部にあったカスティーリャ王国の女王でした。

そして絵では、最愛の夫が亡くなり、夫の棺と侍従たちを連れて国内を彷徨っている様子です。

フアナは夫のことを愛しており、そのため夫からの愛情が冷めてもずっと夫のことを愛していました。

時に激しい嫉妬心に駆られながらも。(夫のフィリップは妻に飽きると浮気をしていました)

 

当時のスペインはイスラムを追い払い、カトリック勢力が統治していました。

15世紀まではイスラムが支配していたんですね。

統治していたのは、アラゴン王国の王とカスティーリャ王国の女王です。

彼らは結婚後もそれぞれの国を治めていたため、王と女王の関係でした。

だから、イザベル女王が亡くなった時、カスティーリャ王国の次の王となったのは、父フェルナンドではなくその娘のフアナでした。

もしここで父のフェルナンドが継承していたら、フアナはここまで取り上げられる人間じゃなかったかもしれませんね。

しかし、女王はフアナなのに、夫と父が実権を争っていました。

そんなさなかに愛していた夫が不審な死を遂げます。

この夫のフィリップは、ハプルブルク家のマクシミリアン1世の息子でとても美男子でした。

フアナとフィリップは政略結婚だったのに、フアナは美しいフィリップに恋してしまいます。

フアナは夫の死をきっかけに精神的におかしくなっていきます。

 

絵画の場面は亡くなった夫の死体をハプルブルク家に奪われないように、

夫がもしかしたら生き返るかもしれないという淡い望みを期待しながら

あてもなく国内をさまよっているフアナを美しいタッチで描いてます。

周りの侍従たちの反応なんて構わない。

(侍従たちはかなり疲弊しています)

愛する夫が死体であってもそこにいるか確かめずにはいられない彼女のなんとも悲しい姿がとても生々しく画面から伝わってきます。

 

わたしだったら、実の親と愛する夫が国の実権争いをしているなんてとても耐えられないと思います。

フアナが狂うのも同情してしまいます。

初見では、棺を持って、たくさんの人を引き連れながら荒野を進む女と疲れ果てている周りの人たちの絵はこの上なく不気味な絵でした。

しかし背景を知ることで、彼女に起こった悲劇の目撃者になれました。

知ることと知らないことは大きな違いがありますね。

 

その後のフアナについては、29歳で実権を握った父に75歳で死ぬまで幽閉され続けました。

しかし、最後まで署名には女王と書いていたらしいです。

きっとフアナにとって、女王と名乗ることしかアイデンティティを見いだせなかったかもしれないですね。

 

 

 

◇さいごに

歴史はとてもよくできたドラマだと思ってます。

テレビで見るドラマとは違い、本物の人間の愛や苦悩が浮かび上がってきます。

そんな背景を深く知ることで、絵画を見る面白さは変わってくるのではないでしょうか。

 

余談ですが、フアナはフィリップとの間にカール5世を生んでいます。

彼は、後のハプスブルク家を繁栄に導いた君主でした。

いつかカール5世の話も書けたらと思います^^

 

さいごに、たくさんの人がこの絵画を通して彼女の悲劇を感じてくれたらうれしいです。

みなさんも、絵画の奥にあるドラマを読んでみてはいかがでしょうか^^

以上、totoccoでした^^