mastemのブログ

本好きの備忘録( *´艸`)ゆるゆる感想と日常について書いてます

【読書感想文】「犬とハモニカ/江國香織」

こんにちは、totocco(トトッコ)です\(^-^)/
今日は江國香織さんの短編集の感想をゆるゆる書いていきますφ(..)

「犬とハモニカ/江國香織

犬とハモニカ (新潮文庫)

犬とハモニカ (新潮文庫)


◆あらすじ
6つの短編からなる本。
表題作「犬とハモニカ」は様々な人物たちの飛行機、空港でのシーンが描かれたもの。
どことなく、この間読んだ「去年の雪」のようなテイストでした。
(同じ作者が書いてるからむしろ当たり前で、更に言うと「犬とハモニカ」の方が先に書かれてるから「犬とハモニカ」テイストの方が正しい気も)


他には、これまで恋愛など対人関係に淡白だった主人公が新しくできた恋人に執着して自身の変化に戸惑う話や、ピクニックをする夫婦の話、同性愛者のカップルが旅行に行く話、源氏物語をモチーフにした作品など。

中でも特に気に入ったのは、「寝室」。
今回はこちらの感想を書いていきます(^-^)


◆感想
「寝室」は、妻子のいる中年の男と薬局に勤務する30代女が不倫しており、女から突然別れを告げられる話でした。

5年の関係を続けていた文彦。
理恵からは入籍したいとは言われないが、暗に妻と別れてほしいと思われている。

文彦はとてもずるい人物だと思った。
妻とは絶対に離婚してやるという考えもなく、頭の中だけで離婚したいなぁくらいにしか思ってない。
もちろん、直接離婚の話なんてしてない。

しかし理恵とは逢瀬を重ねるし、自宅に帰ると妻や子どもが待っている。
対する独身の理恵にはいない。
不倫関係において言うのは変だけど、この関係はとてもフェアじゃない。

文彦の身勝手なものだと思う。
しかし理恵もまた共犯者。
妻にとっては許しがたい存在だと思う(作中の妻が夫の不倫を知っていたかは分からないけど)

そして理恵に別れを告げられて呆然としてしまう文彦。
まるで自分の一部分がなくなってしまったかのように。

51歳の文彦からどんどん理恵と過ごして得た若々しさがしゅるしゅると抜けていく様子が彼の動揺と共に伝わってくる。


江國さんはよく女性が主役の話を書かれる方だと思ってたけど、男性心理の描写も鋭く繊細に書いている。
そこがまた新鮮に感じます。


理恵に別れを告げられて、引き留めようと気を引こうとして妻とは離婚すると口走る文彦。
しかし理恵には届かない。

恐らく理恵はこの5年間で彼が彼女を愛してたのか知っているし、同時に妻と離婚するほどではないことにも気づいたんだろうなぁ。
つまり、一生2番手の女。
結局は妻のもとへ帰ってしまうのだ。


そしてラストは本当にそうなった。
妻が既に寝てる寝室に入り、しばらくして理恵が別れてくれたことに感謝する。
結局身勝手な男だったのだ。
理恵はそんな彼を正直な人だと表現する。


頭の中で離婚を考えていた相手の背中に顔を埋めて寝る文彦は本当に情けない男性だ。
結局妻との結婚生活の中での退屈しのぎで理恵と付き合っていたのだろう。
本人にとっては大恋愛だったのかもしれないけど。

身近にも文彦のような、身勝手でとても情けない男はいそうですね。
出会いたくも関わりたくもないけれど。

◆さいごに
ここ最近は江國香織さんの作品にどっぷりハマってます(^-^)
江國祭りですね笑
しかしまだまだ読んでない作品やもう一度読みたいエッセイ(いくつもの週末や雨はコーラが飲めないなど)があるので、まだまだお祭り続きそうです笑

ここまで読んでくれてありがとうございました❤️