【読書感想文】「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして/島本理生」
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)
今回は今月初めに読み終わった本の感想文を( ..)φメモメモ
「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして/島本理生」
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◆あらすじ
知世と彼女の友人、彼女の妹の日常について。
メインは知世と彼女の恋人、椎名との話。
春から付き合っていくことになった知世と椎名。
しかし付き合う時に椎名から自分はエイズで付き合えないと断られる。
しかし2人で病気と向き合っていくことにして、進んでいく話。
◆感想
タイトルの意味
タイトルは、椎名と知世が知世の妹の出産祝いで買った銀のフォークと椎名の薬から。
小説では、銀のフォークは椎名が持つのかと知世に聞かれて、危ないことは僕が引き受けると答えた椎名。
個人的には後のわずかなページで椎名が命を落とすのではないかと不安になった苦笑
幸福な話であればあるほど、その後の暗い展開がきたら悲しくてショックを受けそうで怖いのです(;・∀・)
椎名と知世の関係
10歳ほど上の椎名と30歳の知世。
エイズと聞くと誰でもとても不安になって怖いと思う。
でも椎名と共に抱えていくことを選んだ知世。
彼女はとても強いと思った。
婚活に悩む茉奈の話では、答えが見つからず途方に暮れているところが痛いほど伝わってきた。
婚活で100%の相手に出会えるのだろうか。
そもそも通常の恋愛だって100%の相手と出会えるわけないなと思う。
相手の欠陥すらも愛せるのかどうかなのではないか。
しかし日本では未だに結婚=1人前の男性。
女性だったら更に、結婚&出産=1人前の女性という認識がまだまだ幅を利かせている気がしてならない。
無意識に私たちの価値観の中に入り込んできていると思う。
多様性が叫ばれる現代で、より息苦しい社会になっている?
結婚してもしなくても、死ぬまで自分らしく生きたい。
自分のやりたいことを子どもがいるからとか家族のケアだけに費やしてできないっていう人生は嫌だな。
小説内の魅力
椎名の大人の男性という余裕がすごく出てきてよかった。
椎名のような男性にエスコートしてもらって、おいしいものをいっぱい食べたい。
食べ物の描写がとても巧みで、食べたことのない料理でも食感が伝わってきた。
私も彼らと一緒に味わってみたい。
知世と妹、母の関係
家族ってとても難しい関係だと改めて思った。
酷いことをされても、それを理由になかなか離れることができない。
小説を読んでいると、知世は妹や母を捨てたら楽になれるのではないかと思ったことが何度かあった。
後半で知夏からのメールを見た知世が目を覚ます場面は胸がすっとした。
知夏にティファニーのお祝いセットを渡さなくてよかったと思った。
冒頭にも書いたけれど、この小説が死ネタじゃなくて本当によかった。
椎名と知世の関係はとても穏やかで読んでいて和んだ。
物語は入籍する前に沖縄旅行へ行った様子で終わっている。
その後2人は入籍して…結婚式を…とかそういうその後のことは読者に委ねてくれている書き方がとても好き。
椎名と知世の幸せを心から祈ります。
◆さいごに
島本理生さんの小説を手に取ったのは3作目でした。
今作はすごく心が温かくなる話。(知世と椎名のメインだと)
それと同時に他に登場する友人や妹の話もとても惹きつけられました。
女性の生き方、特に20代から30代の生き方って難しいですよね。
正解が分からない。
そもそも正解ってなんだろう。
自分が良いと思った人生を歩めたらいいのでは?
社会っていう見えない誰かに許してもらう、認めてもらわないといけない雰囲気よ、なくなってしまえと思ったtotoccoでした。
ここまで読んでくれてありがとうございました^^