mastemのブログ

本好きの備忘録( *´艸`)ゆるゆる感想と日常について書いてます

【読書感想文】『すいかの匂い/江國香織』

こんばんは、totocco(トトッコ)です(^-^)
今日は自宅から持ってきた文庫本を読んでました🎵
夏に向かうこの時期にぴったりな作品について、ゆるゆる感想を書いていきます\(^-^)/

『すいかの匂い/江國香織

すいかの匂い (新潮文庫)

すいかの匂い (新潮文庫)

◆ストーリー
夏の思い出を振り返る少女たちの短編集です。
少女の記憶の話なのに、どこか懐かしさを感じてしまう。
幼い頃に感じ取った夏の気配に触れることができる作品です。

◆好きな話
11もの短編集でできた『すいかの匂い』。
江國香織さんの澄んだ感性によって、誰もが記憶の中にしまってある夏を表現しています。
彼女の紡ぎ出す文章は物悲しさ、静謐な雰囲気などがよく出てきますよね。

これまで私が読んだ江國さんの作品は、エッセイが多くて個人的にエッセイや恋愛ものを多く書かれる方だと思ってました。
しかし本書は良い意味で裏切られます。

恋愛ではなく、どことなく後味が悪いものや薄気味悪いものが多い短編集となってます。
そしてフィクションのはずなのに、どこか実際にあったことのような気がしてしまう。
きっとフィクションの話と、私たちがかつて体験しただろう夏の記憶がうまく混ざりあってノルタルジックな気分にさせているんでしょうね。

そんな中で私が特に気に入ったのは、
『すいかの匂い』
『蕗子さん』
『弟』
『焼却炉』

…どの作品も味わい深くてなかなか選べないんですけど苦笑
1つだけ紹介を。

『焼却炉』では、夏に一夜だけ子ども向けの影絵などの劇をボランティアでしている大学生たちが主人公の少女の小学校へやって来た話。
ここでは少女の独占欲がよく表れていて、最後の男子大学生とのお別れのシーンがちょっと狂気を感じさせます。

でもこれは一種の彼女の悲鳴のようなメッセージだと思った。
私のこと忘れないでっていう、悲鳴。
だからナイフで彼の手を刺した。

小学生がこんなにも暴力的に描かれるなんて。
何より主人公の少女はちっとも善良な子どもじゃない。
嘘もつくし物も盗む。
あまり不良が主人公の作品を読まないせいか、かなり強烈な印象を受けた。
しかも江國香織さんがこんな子どもを描くなんてと驚いた。
作品のジャンルがいつもと違う気がして、かなり新鮮味を感じました。
新しい江國ワールドにであって嬉しい(^-^)


◆さいごに
こちらの本は実は去年買ったものでした。
読もう読もうと思って、いつしか半年ほど寝かせてしまい…。
去年の冬に手に取ろうとしたら、Twitterで読書アカの方が夏に読みたくなる作品だとツイートしてたのを目にし、今回まで寝かせることに。

結果的に入院中に初夏から夏に向かうこの時期に読み出したのはベストシーズンでした💕
どなたか知りませんが、的確なツイートに感謝します(^-^)

江國さんの作品はまだまだ未読のものが多いので、手に取っていきたい。

ここまで読んでくれてありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ♪