【読書感想文】「夜はおしまい/島本理生」
こんばんは、読書大好きtotocco(トトッコ)です( *´艸`)
今夜はとても月が大きく見えますね!
すごくきれいなのに、ずっと見ていたらなんとなくセンチメンタルに…。(´;ω;`)
さて、今回も読書感想文をゆるゆると書いていこうと思います^^
今日の本は島本理生さんの「夜はおしまい」を^^
◆あらすじ
4人の女性の日常の話。しかし共通点は、全員が金井という男と知り合いということと心に傷を負っていること。
中でも「雪ト逃ゲル」という作品がとても印象的だったのでこちらを紹介します^^
◆感想
女性作家が愛人Kと過ごす話。一番望んだものが得られないと怒りだす彼女は痛々しく感じた。
幼少期の精神的な不安定な状況で暮らしたことから、この人は歪んでしまったんだろう。
しかし作中に彼女は両親のために祈っている描写があるのには驚いた。
女性を苦しめるはずの両親から彼女は18歳の時に逃げ出した。
しかし逃げてもなお、親思いな面を見せられると本当に可哀そうになる。
女性はKが一目ぼれしたと話すたびに本当はちがうと思っている。
でもK本人がそういうならばそうなんだと認めた方が自分が楽になるのに。
常に相手を試して、疑って安心したがっている。
彼女は彼女の小説家という肩書きがKを惹きつけたのだと疑わない。
105ページのシーンはとても好き。
Kが突然いなくなってしまったシーン。
私を一人にするなんてという怒り。
しかしすぐに、彼と初めからやり直してしまってもまた彼を同じように追い詰めてしまう自分に怯えてしまう。
本当は愛されているのかどうか不安で仕方ないのだ。
彼女の現在の家庭は崩壊しそう。
夫は、早期退職して転職活動中。なかなかうまくいかない。
それなのに彼の実家へ援助をお願いする素振りもなく、彼女は一家の家計を支えることと、母という役割を担わされる。
そしてその重さに耐えきれなくなる。
とても脆い女性。
そして精神科で更紗先生にかかることに。
彼女はきっと父から性的虐待を受けたんだろう。
性的虐待を受けた者はその後の人生をかなり狂わされる。
普通に見える?
それはあなたが知らないだけなのではないか?
◆この本を読んで思い出したこと
この本のテーマは性的虐待など、さまざまなことで傷ついた女性でした。
これを読んで思い出したのは、大学でのこと。
大学生の時に、ある講義で大学教授が強姦殺人事件について持論を述べていた。
彼は、減るものじゃないんだからゴムを渡してさせたらいいのにって言った。
何を言っているんだろうとか当時のわたしは思わなかった。
何も感想はなかったのだ。
固まってしまった。
これまでそんなひどい暴言を吐く人を目にしたことがなかったから。
とっさの暴力に人は反応できない。
彼にとっては命がとても大事だと伝えたかったのかもしれないが、その暴力によって心を殺されてしまうことを脳に刻んでほしい。
結局彼は日常の言動が不適切ということで、退職に追い込まれた。
私が関わったのは1年限り。
それでも未だに思い出して、あの時私は傷ついたんだと気づかされるし、怒りを覚える。
小説だからフィクションなんだけど、作り物の話だとはっきり言えないほどリアリティを感じさせる作品でした。
ラストに小説家の彼女のその後の様子が描かれていて驚きや、過去と向き合おうとする彼女の強さに触れて嬉しかった。
◆さいごに
テーマが全体的に少し重い雰囲気の話でした。
ゆっくりと彼女たちが回復していくことを願わずにはいられない作品でした。
ここまで読んでくれてありがとうございます^^