mastemのブログ

本好きの備忘録( *´艸`)ゆるゆる感想と日常について書いてます

【読書感想文】「ケーキの切れない非行少年たち/宮口幸治」

こんにちは、totocco(トトッコ)です(*^-^*)

ここ最近は切迫早産のため、自宅で安静の生活を送っています。

ちなみに今もお腹の張りを感じています…(;・∀・)

けっこう痛いから早く良くなってほしい…。

 

さて、安静にしている間に2冊ほど本を読んだので、その内1冊のその感想を(*´ω`*)

 

「ケーキの切れない非行少年たち/宮口幸治」

 

 

◆感想

宮口さんによると、非行少年たちには共通の特徴がみられるという。

その中でも認知機能が弱いというもの。

これが弱いと、たとえ犯罪を犯しても更生するのがとても難しい。

認知機能の弱い非行少年らはソーシャルスキルが乏しいと判断されると、そのトレーニングを行う。

有名なトレーニング方法に認知行動療法がある。

ちなみに余談ですが、認知行動療法は私がパニック障害を患った際に治療法として使われました。

 

しかし非行少年らは、そもそ認知機能が弱いため、治療が上手くいかない。

これは、認知行動療法の前提に認知機能に問題がないこととされているから。

したがっていくら認知行動療法でアプローチしても、効果が見られない。

だから反省できない人々がいるという。

 

 対人スキルが乏しいと生じる問題

また対人スキルが乏しいと、異性とのかかわりに大きな問題を生じる。

その最悪な結果に性犯罪がある。

知的障害、発達障害の非行少年の中には思い込みの激しい人がおり、相手が誘ってきたなどという認知のゆがみからくる供述も。

本書の中では、いじめに遭って幼女ばかりに性犯罪を犯した少年が取り上げられていた。彼は幼女に対して性的関心を抱くというわけではなく、自分のことを受け入れてくれそうだと思って幼女に近づき結果的に性的犯行にいたるようだ。

つまり異性に対して関心があるけれど、同年代の女性や大人の女性は怖いという。(ある少年は9歳の女の子が怖いという。9歳ははっきりと自分の考えを言える年齢というから、それよりも下の幼女を狙うことで自分が受け入れてくれそうと思うのか?)

 

わたしはだからと言って、非行少年たちを可愛そうだと思わない。

じゃあ、彼らがかわいそうだから許してあげようねなんて、どうしてもならない。

きちんと被害者に償わせないといけない。

それが障害を持っていても。

 

 

本書の中では、認知機能を上げる訓練について書かれている。

少年院などに入っても、刑務所に入っても、性犯罪者だけでなく、認知機能が弱い彼らのような罪を犯した人々に訓練を受けさせて自身の罪と向き合わせて償わせていくことが大事だと思う。

 

 困難を抱えている人はどのくらいいるのか?

本書の中では、知的障害、あるいは境界認知の人々がどのくらいの割合で存在しているのか明らかになっている。

知的障害の人々は全体の2%。

一方境界認知の人々は14%。

けっこう多いなという印象。

ちなみに軽度の知的障害の人、境界認知の人は普通に暮らせるけれど、何か困ったことが起こった際に多くの困難が生じるという。

彼らには多くの支援が必要にも関わらず、その支援が行き渡っていない(本人や周囲が気づかないケースがある)

 

もしも彼らが更生したら

刑務所の中にはかなりの割合で、認知機能が弱い人々が収容されている。

もしも彼らを更生させることができたら、国の財政的にかなり浮く計算になるという。

1人の受刑者を養うには年間300万かかる。

もしも彼が更生して社会復帰すれば、少なくとも1年間で税金を100万ほど払うことになり、400万の節約につながる。

刑務所に現在収容されている人々は5.6万人。(2240億かかる)

被害者への賠償額は2000億と見積もると、年間の損害が少なくとも5000億となり、より1人でも多くの人を更生させることが大切だと考える。

もちろん、受刑者の全員が認知機能が弱いとは思っていないけれど。

でも認知機能が弱いばかりに再犯を繰り返してしまう人々に適切なトレーニングを行えば、浮いたお金で被害者の救済に当てられるのではないかと考える。

 

 認知機能の弱い子どもたちを犯罪者にしないためにはどうしたらいい?

認知機能が弱い子どもたちを犯罪者にしないためにはどうしたらいいのか?

さきほど知的障害や境界認知の割合の話を出した。

これは、小学校のクラスに換算したら、クラス内の下から5番目の子がこれらの障害を抱えているそう。

この子たちを犯罪者にしないために、学校では多くの支援が必要。

宮口さんは、社会面、学習面、身体面の3つの方向からの支援が必要としています。

ところが学校では、社会面の支援が不十分という。

教員の人手が不足していること、学校現場にもっと多くの専門家が介入していくべ段階ではないかと感じました。

 

 

◆さいごに

非行少年と聞くと、手に負えない凶悪な人物を思い浮かべます。

しかし実際にはそうでもない子どもたちが多くいます。

彼らは認知機能が弱い弱者にも関わらず適切な治療などを受けられず、その結果犯罪を犯して少年院へいくことになった人々です。

なぜ反省ができないのか?

心がないからとか、ダメな奴というレッテルを貼るのは簡単。

しかしよく彼らのことを知ることで、対策をすることができる。

そうしたら、結果的に犯罪被害者を救済することに予算を割けるようになるのでは?

将来の被害者を出さないようになるのではないかと考えます。

 

ここまで読んでくれてありがとうございます。