【読書感想文】「活発な暗闇/江國香織」
こんにちは、totocco(トトッコ)です(*´ω`)
ここ最近はゆっくりと過ごしているので、読書がすごく捗っています♪
先日読んだ本についてゆるゆると感想を書いていこうと思います( ..)φメモメモ
「活発な暗闇/江國香織編」
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◆あらすじ
江國香織さんがセレクトした詩をまとめたものです。
その中でいくつか心に残った内容を( ..)φメモメモ
ところでタイトルがまたおしゃれですね!
活発な暗闇ってどういう状況なのか?
想像するのも楽しいです^^
◆「3月18日、メイタグ・ホミッジ・ホテルで横になって」
これは作者がホテルの窓からニューヨークの街を眺めている時の様子について。
このニューヨークでは雪が降っていて、空から降る雪を眺めながらその世界がまるで大きな洗濯機の中だと想像しています。
ニューヨークの雪は一体どんな雪なのか?
ぼたっと重そうな大粒なぼたん雪?
それとも雪の粒がとても細かい粉雪?
灰色の空を窓から見るのは少し物悲しい気持ちになりますが、
詩の続きにある
「汚れた待機を撹拌して、洗濯しているようだ」
という一説で心が穏やかになります。
そういう余韻を与えてくれる本作が好きです^^
◆「空を見ていゐるとⅡ」
この詩で私が想像するのは、初夏を感じる少し人里離れた洋食屋さん。
作品では、昔懐かしい(作者の中では大正時代のレストランのことを指す)レストランで食事をしたいというもの。
さわやかな風がレストランのカーテンをゆらゆらと揺らし、お客さんがやって来るのを待っている、そんなお店が想像できます。
一度も足を運んだことがないのに、どこか懐かしく感じるレストランに行ってみたいものです。
◆「夜のパリ」
どこかほの暗さを感じながらも、情熱的な印象を与える作品。
マッチを3本する時に、それぞれする意味が違う。
最後のマッチをすり終わった後に、愛する人と抱き合う様子が目に浮かびます。
もしかしたら、一夜の恋の様子を読んでいるのかもしれませんが。
だとすれば、どこか切なさも感じますね。
◆「家出人人相書」
性的魅力をたっぷりと備えた妖艶で妙齢な女性の作品。
同性からみると嫉妬の対象とされる。
しかし男性からみると、ほっとけない。
詩の中ではずる賢いという、あまりよろしくないニュアンスで描かれた妖艶な女性ですが、一度でいいからそんな美女となって同性からたっぷりの嫉妬と男性からの熱い視線を浴びてみたいものです。
◆「朝の食事」
ある朝の食事風景について。
しかし詩の中では登場人物たちの恋愛は終わりを迎えていることが伝わってくる作品となっています。
ゆっくりと同じように描写された様子。
しかし最後に女性の気持ちが反映されて、より物悲しさが伝わってくるようになっています。
楽しい恋愛もいつかはおわりを迎えます。
それが新たなステージ(結婚)か、永遠の別れなのか。
男女関係だけではなく、人との関係は難しいものですよね。
◆「来るんじゃない 私が死んだならば」
これはこの本の中で最も気高い詩。
私が死に、私の死を悲しむ者や私の子どもに向けた内容。
相手をどこまでも拒絶しているのです。
どことなくかつて流行った某歌詞にあるような気持ちにさせますが、
この詩は涙を流して悲しむ者すら遠くへ行ってしまえというのです。
子どもさえも。
「私」は誰かにやって来てほしいのではなく、安らかな休息が欲しいそう。
見送った者からしたらすごく悲しい。
けれども、自分が亡くなり、そこまで好きじゃなかった者たちが自分の頭上をズカズカと歩いているのを想像したら去れと思ってしまいそう。
◆江國さんの解説の中にて。
中原中也についての解説。
私は世界史専攻だったので、お恥ずかしながら日本の詩人などに疎いです。
そのため、本作品の中で収められている中原さんのことをよく知りませんでした。
中原さんの詩はとても潔い印象。
江國さんは解説で健康的な魂を感じるとしています。
また、神経衰弱を患って30歳という若さで亡くなった詩人なのに、とも。
現代で考えるとかなり若くして亡くなってますね。
当時の平均寿命だと普通なのかな。
いずれにしても、もっと長生きしてくれていたら他の作品にも触れることができるのにという意味で残念です。
◆さいごに
普段はあまり詩集を読みませんが、詩には詩でしか表現できない世界観が好きです。
無駄のない文章によって、その時の様子を的確に読者に伝えようとするもの。
とても美しいですね。
ここまで読んでくれてありがとうございます(*´ω`)