【読書感想文】「あの子が欲しい/朝比奈あすか」
こんばんは!
読書大好きアラサー女子のtotocco(トトッコ)です(*^-^*)
今回は、最近読んだ本の感想について。
この本のキーワードは、選ばれるか選ばれないか。
主人公は会社の採用担当として、学生たちを選ぶ。
しかし一方的に選ぶことは許されないのだ。
なぜなら、相手(他者)がいるから。
そしてプライベートでは恋人との関係、ラストでは欲しくてたまらなかった猫カフェの猫を手に入れたものの…。
それを考えたら、小説のタイトルは何を指すのでしょうか。
会社の本音?それとも…。
「あの子が欲しい/朝比奈あすか」
◆感想
主人公、川俣志帆子が会社で採用担当(学生向け)をしていく話。その中で会社近くの猫カフェに通うことに。昔飼っていた猫そっくりの猫に出会い、虜になっていく。
彼女には小説家(新人)の彼がいる。彼との関係、猫、仕事の話が同時に進む。
志帆子は自分が優位に立って選ぶ側の人間だと思っているところがある。しかし恋人のセキを知らず知らずの内に傷つけていたことを知る。
本当は彼との未来を思い描いていたのに、ささいなことで2人は別れることに。
ここが悲しい。
片方が一方的に強い関係だと、物事はうまくいかないのだろう。
特に恋愛というものに関しては。
採用も小柳を絶対に自分で採ることができると思っていたのに、小柳に拒まれてしまう。
その後社長から、小柳が社長に認められて入社することがベストで、川俣に認められるのでは意味がないと思われていたことを知る。
ここが切ない。
2人、あるいは2つの関係は平等なのだ。志帆子にはおごりがある。
ラストの猫カフェでは、カフェが大きな展開を迎えていたのには驚いた。
◆登場人物たちについて
常連の気持ちの悪い女性が気持ち悪かった。
猫カフェでは禁止されているものを猫に与えているあたりも×。
セキについて。
猫カフェに通う志帆子や常連の女性を欲求不満というあたりがなんとなく不快だった。
また猫カフェに在籍している猫たちのことを、風俗嬢に見立てて考えているところも×。
そして何よりもごはんなど、世話になっているのにあれこれと文句をつけるのが信じられない。
志帆子にとっては好きだったのかもしれないけれど、別れて正解だったのではないかと思った。
志帆子について。
彼女は何を得たのだろうか?
真っ先にそう思う。
新卒採用では、欲しかった人材を次々青田買いする彼女。
そして目にとまった男子学生、小柳の採用を決めようと彼にも迫る。
しかし彼は社長から選ばれることにこだわる。
志帆子にではなく。
本来ならばやってはいけない青田買いだけど、社長からはお咎めなし。
志帆子にとってはダメージなく、うまく切り抜けられたのに彼女の心は浮かない。
採用担当として、学生を選ぶ側だった彼女は、小柳から選ばれなかったのがショックだったのだろう。
そして念願だった猫を自宅に迎えたのに、なぜか心が晴れない。
描いた恋人との未来は永遠に訪れない。
現実に実際にありそうな話。
でも救いがない気がして寂しい気持ちになる。
◆小説家について
初めて読んだ作家さんでした!
なんでも彼女は、1976年生まれ。慶應大学卒業。他にも小説を発表しているので、機会があれば、「憧れの女の子」や「不自由な絆」などを読んでみたい^^